睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病態を指し、放置すると心臓病や脳卒中、さらには突然死のリスクも高まります。

しかし、自覚症状が少ないため、多くの人が自分がこの症候群に該当するかどうか気づいていません。

この記事では、自宅で簡単にできる睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック方法を紹介し、その重要性についても解説します。

睡眠時無呼吸症候群の症状と健康への影響

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止するか、極端に浅くなる状態を繰り返す病気です。この症状が1時間に5回以上発生し、それが7時間の睡眠中に継続する場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。この症状は、睡眠の質を大きく低下させ、日中の過度の眠気や集中力の低下などを引き起こします。さらに、長期間放置すると、高血圧、心疾患、脳卒中、糖尿病などのリスクが高まることが知られています。

睡眠時無呼吸症候群の主な3つのタイプ

  1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS):
    • 最も一般的なタイプで、喉の筋肉がリラックスし過ぎて気道が塞がれることで発生します。これにより、睡眠中に呼吸が一時的に停止します。
  2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS):
    • 脳が適切な呼吸を制御できない状態で発生します。このタイプは、心臓病や脳の疾患が原因で起こることが多いです。
  3. 混合型睡眠時無呼吸症候群:
    • 閉塞性と中枢性の両方の特徴を持つ症状で、治療が複雑になることがあります。

睡眠時無呼吸症候群の特徴として、喉いびきである可能性が高いです。自分のいびきが喉から出るタイプか、鼻から出るタイプかを見極める際には、当サイトの喉いびきと鼻いびきの音の違いの解説記事も参考にしてください。

睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックの方法を知ろう!

睡眠時無呼吸症候群の兆候を見逃さないために、以下の症状があるか自己チェックしてみましょう。

夜間のいびき

大きないびきは睡眠時無呼吸症候群の代表的なサインです。

日中の過度の眠気

十分な睡眠を取っているにも関わらず、日中に強い眠気を感じることがあります。

夜間の呼吸停止

パートナーから夜間に呼吸が止まることを指摘されたことはありませんか?

朝の頭痛

睡眠中の酸素不足が原因で、目覚め時に頭痛を感じることがあります。

夜間の頻尿

夜間に何度もトイレに起きることがあります。

これらの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。ただし、これらのチェックリストはあくまで参考であり、正確な診断は専門医による検査が必要です。

睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされるリスクとは?

睡眠時無呼吸は、ただのいびきと思われがちですが、その影響は健康全体に及びます。睡眠時無呼吸は、心血管疾患、糖尿病、肥満などの生活習慣病と密接に関連しています。睡眠中の反復する低酸素状態は、以下のような様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

高血圧

睡眠時無呼吸症候群は夜間の血圧を上昇させ、高血圧のリスクを高めます。

心疾患

心臓への過度のストレスと低酸素状態は、心疾患のリスクを増加させます。

糖尿病

睡眠時無呼吸症候群はインスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症リスクを上昇させます。

これらのリスクを軽減するためには、睡眠時無呼吸症候群の管理と治療が重要です。

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、糖尿病、心臓病、脳血管疾患などと密接に関連することが知られています。睡眠時無呼吸を有する患者さんは、一般人口と比較して、高血圧が約2倍、虚血性心疾患が約3倍、脳血管疾患が3~5倍の頻度で合併すると報告されています。

引用:日本橋循環器科クリニック – 睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病

睡眠時無呼吸症候群の改善方法と対処法

睡眠時無呼吸症候群の症状が見られた場合、以下のような生活習慣の改善が推奨されます。

体重管理

適正体重の維持が重要です。

横向きでの睡眠

背中を下にして寝ると舌が気道を塞ぎやすくなります。

アルコールの摂取制限

就寝前のアルコールは避けましょう。

禁煙

喫煙は気道の炎症を引き起こし、症状を悪化させます。

これらの生活習慣の改善に加え、症状が重い場合はCPAP療法マウスピース治療、場合によっては手術が必要になることもあります。自己判断せず、専門医の診断を受けることが重要です。

睡眠時無呼吸症候群の治療法を3つ紹介!

睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群の治療は、その原因、症状の重さ、および患者の全体的な健康状態に基づいて決定されます。治療の主な目的は、睡眠中の呼吸を正常化し、日中の症状を改善することです。以下に、一般的な治療法を詳しく解説します。

CPAP(持続陽圧呼吸療法)

中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群には、CPAP療法が一般的に推奨されます。この治療法では、マスクを通じて気道に連続的な空気の流れを提供し、睡眠中に気道が閉じるのを防ぎます。CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の症状を効果的に軽減し、長期的な健康リスクを減少させることができます。

参考:CPAP治療の効果や治療手順 | 睡眠外来

マウスピース(口腔内装置)

軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群や、CPAP療法が適さない患者には、マウスピースが適用されることがあります。この装置は、下顎を前方に保持し、睡眠中に舌が後ろに落ち込むのを防ぎ、気道を開けておくことを目的としています。マウスピースは、歯科医師や専門の医療提供者によって個別に調整されます。

参考:睡眠時無呼吸症候群とマウスピース(口腔内装置) | 元住吉 …

手術

ライフスタイルの変更、CPAP療法、マウスピースで改善が見られない場合、または解剖学的な問題が原因である場合には、手術が検討されることがあります。手術には、扁桃腺の除去、顎の位置の修正、軟口蓋や喉頭の狭窄部分の除去などが含まれます。手術は、個々の症状や健康状態に応じて慎重に検討されるべきです。

参考:睡眠時無呼吸症候群の手術について|横浜弘明寺呼吸器内科クリニック

その他の治療法

睡眠時無呼吸症候群の治療には、呼吸リハビリテーションポジショナルセラピー(特定の体位での睡眠を促す治療法)、または神経刺激装置の使用など、他にも様々なアプローチがあります。これらの治療法は、患者の症状や好み、および医療提供者の判断に基づいて選択されます。

睡眠時無呼吸症候群の治療は、患者一人ひとりに合わせてカスタマイズされる必要があります。適切な治療法を見つけるためには、睡眠医療の専門家と密接に協力し、定期的なフォローアップを行うことが重要です。

睡眠時無呼吸症候群は早期発見が大事!

睡眠時無呼吸症候群の早期発見と治療は、健康リスクを大幅に減少させることができます。自分自身や家族が睡眠時無呼吸症候群の症状を示している場合は、専門医に相談することが重要です。早期に対処することで、日中の活動の質を向上させ、長期的な健康問題を防ぐことができます。

睡眠時無呼吸症候群は、適切な対策と治療により改善することが可能です。自分の睡眠の質に注意を払い、必要に応じて専門家の助けを求めましょう。健康的な睡眠は、充実した日々を送るための基盤となります。

参考:
厚生労働省 – 睡眠時無呼吸症候群
医療法人 徳洲会 – 睡眠時無呼吸症候群
American Sleep Apnea Association. (n.d.). What is Sleep Apnea? [Online].