睡眠中の呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」は、日中の眠気や疲労感、さらには心疾患や脳卒中などのリスクを高める危険な病気です。本記事では、睡眠時無呼吸症候群の治療法として最も効果的な「CPAP療法」について、その仕組みから効果、費用、治療期間まで、徹底的に解説します。
CPAP療法はどんな治療方法?
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療法として広く用いられていますが、実はいびき改善にも効果的です。
CPAP療法によるいびき治療のメカニズムは以下の通りです。
- 気道の拡張
CPAP療法では、鼻マスクから圧力をかけた空気を送り、気道を広げます。
- 気道抵抗の軽減
気道が広がることで、睡眠中に舌や軟口蓋が振動する原因となる気道抵抗が軽減されます。
- いびきの発生抑制
気道抵抗が軽減されることで、舌や軟口蓋の振動が抑制され、いびきが改善されます。
CPAP療法による効果は睡眠時無呼吸症候群の症状改善だけではない!
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の症状改善だけでなく、生活の質 (QOL) 向上や、心疾患・脳卒中リスク軽減など、様々な効果が期待できます。
CPAP療法による睡眠時無呼吸症候群症状の改善効果
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の症状である無呼吸や低呼吸を効果的に改善します。
- 無呼吸・低呼吸の回数を減少
睡眠中の無呼吸や低呼吸の回数を大幅に減らすことで、睡眠中の呼吸を安定させます。
- 睡眠中の覚醒を抑制
無呼吸や低呼吸による覚醒が減るため、深い睡眠を長く得られるようになります。
- 日中の眠気・疲労感の軽減
睡眠の質が向上することで、日中の眠気や疲労感が軽減され、活動的な生活を送ることができます。
CPAP療法で生活の質 (QOL) 向上の効果
睡眠の質が向上することで、日中の眠気や疲労感が軽減され、生活の質 (QOL) が向上します。
- 集中力・記憶力・判断力の向上
脳への酸素供給が改善され、集中力、記憶力、判断力が向上します。
- 頭痛・倦怠感の軽減
睡眠中の呼吸障害が改善されることで、頭痛や倦怠感が軽減されます。
- 気分の改善
睡眠不足によるイライラや不安感が減り、気分が明るくなります。
- 人間関係の改善
いびきや無呼吸による周囲への影響が減り、人間関係が改善されます。
CPAP療法は心疾患・脳卒中リスクの効果も期待できる
睡眠中の呼吸障害が改善されることで、心疾患や脳卒中などのリスクを軽減することができます。
- 血圧・血糖値の安定
睡眠中の無呼吸や低呼吸による血圧や血糖値の乱高下が抑制されます。
- 心臓への負担軽減
心臓が常に拍動し続ける必要がなくなり、心臓への負担が軽減されます
- 脳梗塞・脳出血のリスク軽減
脳への血流が改善され、脳梗塞や脳出血のリスクが軽減されます。
昼間の眠気や倦怠感も悩ましい症状ではありますが、睡眠時無呼吸症候群の本当の恐ろしさは、命にかかわる合併症を引き起こす点にあります。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、無呼吸になるたびに、体内に十分な酸素が取り込めなくなってしまうため、血液中の酸素量が減ってしまいます。
すると、心臓が足りない酸素を補おうとして強く働くため血圧が高くなり、血管に負荷がかかります。そのため、脳梗塞や心筋梗塞など心血管疾患のリスクが高くなります。
引用:睡眠時無呼吸症候群を放っておくと、脳梗塞のリスクが3.3倍に! | 横浜弘明寺呼吸器内科クリニック健康情報局
CPAP療法にはどのくらいの費用がかかる?
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療法として最も効果的な方法の一つですが、費用面で不安を感じる方も多いと思います。
ここでは、CPAP療法にかかる費用について、レンタルと購入の比較、機器・消耗品について詳しく説明します。
CPAP療法の機器はレンタルと購入の選択肢がある
CPAP機器は、レンタルと購入のどちらかを選択できます。自分の症状の程度や経済的にレンタルと購入のどちらが良いかを判断しましょう。
- 月額数千円~
- 初期費用を抑えられる
- 最新機種への買い替えが容易
- 故障時の修理費用が無料
- 数十万円~
- 長期的に見るとレンタルより費用を抑えられる
- 機器を自由にカスタマイズできる
- 保守費用は自己負担
CPAPで使用する機器・消耗品の費用
CPAP療法には、機器本体以外にも、マスクやチューブなどの消耗品が必要です。消耗品の費用も治療の期間により大きな金額になるので治療を始める前に把握しておきましょう。
- 月額数千円~
- マスク、チューブ、フィルターなど
- 定期的な交換が必要
CPAP療法の効果実感にかかる治療期間
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療法として最も効果的な方法の一つですが、効果を実感するまでには個人差があり、長期的な使用が重要です。
CPAP療法の効果実感までの期間
CPAP療法の効果を実感するまでの期間は、個人差があります。ここでは、効果を実感する期間の例を示します。
睡眠中の無呼吸や低呼吸が改善され、日中の眠気や疲労感が軽減される
いびきが改善される
生活の質 (QOL) が向上する
心疾患・脳卒中リスクの軽減
効果を実感するためには、毎日CPAP療法を継続することが重要です。
CPAPの長期使用による効果維持
CPAP療法は、長期的に使用することで効果を維持することができます。
- 無呼吸・低呼吸の抑制
長期的な使用により、無呼吸や低呼吸の回数を抑制し、睡眠の質を維持することができます。
- 生活習慣の改善
睡眠の質が向上することで、生活習慣が改善され、健康的な生活を送ることができます。
- 合併症の予防
心疾患や脳卒中などの合併症を予防することができます。
CPAP療法のメリットとデメリットは?
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療法として最も効果的な方法の一つですが、メリットだけでなくデメリットもあります。
CPAP療法4つのメリット
- 効果が高い
睡眠中の無呼吸や低呼吸を効果的に改善し、症状を緩和することができます。
- 手術不要
手術や薬物療法に比べて、体への負担が少ない治療法です。
- 副作用が少ない
他の治療法に比べて、副作用が少ない治療法です。
- 合併症予防
心疾患や脳卒中などの合併症を予防することができます。
CPAP療法の5つのデメリット
- 装着
最初は装着に慣れない
- 騒音
機械の動作音が気になる場合がある
- 持ち運び
旅行などの外出時に持ち運びが必要
- 費用
レンタルや購入費用、消耗品費用がかかる
- マスクによる肌荒れ
マスクとの摩擦による肌荒れが起こる場合がある
CPAP療法と他の治療方法と比べて自分に合った治療方法を見つけよう!
睡眠時無呼吸症候群の治療は、CPAP療法以外にも選択肢が存在します。症状の程度や患者さんのライフスタイルによって最適な治療方法は異なるため、医師と相談しながらそれぞれのメリットとデメリットを比較検討することが重要です。
参考:
・CPAP(シーパップ)の検査と治療費用【睡眠時無呼吸症候群】 | コラム | 【公式】いびきメディカルクリニック
・CPAPのデメリットとは?副作用はあるのか?│MIZENクリニック豊洲内科・心療内科
・CPAP療法とはどのような治療法ですか?