睡眠中に大きな音を立てて息を吸ったり吐いたりする「いびき」。多くの人が経験する症状ですが、本人だけでなく周囲にも影響を与えるため、悩みの種となることもあります。

この記事では、いびきの原因と男女における違いについて詳しく解説します。さらに、いびきを改善するための方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

いびきをかいてしまう主な原因8つ

いびきは、睡眠中に上気道が狭くなることで発生します。上気道とは、鼻から肺までの空気の通り道のこと。この通り道が狭くなると、呼吸する際に振動が起こり、これがいびきという音になります。

上気道が狭くなる原因はさまざまですが、主なものは以下のとおりです。

肥満

首周りの脂肪がつき、上気道が圧迫される

加齢

筋肉が緩み、舌や軟口蓋などが落ち込みやすくなる

鼻づまり
  • 鼻炎やアレルギー性鼻炎などによって鼻が詰まり、口呼吸になる
扁桃肥大

扁桃が肥大し、上気道を塞ぐ

舌根沈下

睡眠中に舌が根元へ落ち込み、上気道を塞ぐ

骨格

下顎が小さい、あごが後退しているなど

飲酒
  • アルコールによって筋肉が弛緩し、上気道が狭くなる
睡眠姿勢

仰向けで寝ると、重力で舌などが落ち込みやすくなる

いびきのメカニズム
出典:「いびき」について | 睡眠時無呼吸症候群専門サイト

これらの原因が単独で起こることもあれば、複数組み合わさることもあります。

男性がいびきをかく原因

男性は女性に比べていびきをかきやすいと言われています。これにはいくつかの理由があります。

男性ホルモンの影響

男性ホルモンは気道の筋肉をリラックスさせ、気道の閉塞を引き起こしやすくします。

体型

男性は首周りが太く、気道が狭くなりやすい傾向にあります。

生活習慣

喫煙やアルコールの摂取はいびきを悪化させることが知られており、これらの習慣が男性に多い場合があります。

女性がいびきをかく原因

女性でもいびきをかく人はいますが、その原因は男性とは異なることがあります。

女性ホルモンの影響

女性ホルモンは気道を保護する役割を果たすため、閉塞が起きにくいとされています。しかし、更年期に入るとホルモンバランスの変化によりいびきをかきやすくなることがあります。

妊娠

妊娠中は体重の増加やホルモンの変化により、いびきをかきやすくなることがあります。

男性と女性のいびきの違い

男性の方が女性よりもいびきをかきやすいと言われています。その理由は、以下のとおりです。

男性の方が肥満率が高い

肥満は上気道を圧迫するため、いびきをかきやすくなる

男性の方が筋肉量が多い

筋肉量が多いと、睡眠中に舌が落ち込みやすくなる

男性の方が気道が狭い

男性は女性よりも気道が狭いため、もともとイビキをかきやすい

一方、女性は閉経後に女性ホルモンの分泌が減少し、男性と同じようにいびきをかきやすくなることがあります。

いびきや睡眠時無呼吸症候群は一般的に男性が多いと考えられています。「いびき」をかく人は男性の約25%、女性の10%といわれています(参考 Sleep Breath 2011:15 63-9)。またいびきの原因となる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の日本国内における潜在している患者の数は約500万人で、有病率は男性9%で女性3%と推定されています。特に男性では40歳代から50歳代が半数近くを占めますが、女性では50歳代以降の閉経後に増加するのが特徴です。

引用:女性いびき-いびき外来 睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療 日帰りレーザー手術 慶友銀座クリニック 東京都中央区

いびきの放置によって生じるリスクとは?

いびきを放置するリスク

いびきは、睡眠中に上気道が狭くなることで発生する音です。多くの人が経験する症状ですが、放置するとさまざまなリスクを伴います。

睡眠時無呼吸症候群の発症

いびきを放置する最大の危険は、睡眠時無呼吸症候群を発症する可能性です。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。呼吸が止まる時間は数秒から数十秒と短く、本人は気づかないことが多いのですが、10秒以上呼吸が止まると無呼吸と判定されます。

睡眠時無呼吸症候群は、以下のような症状を引き起こします。

  • 日中の強い眠気
  • 集中力や記憶力の低下
  • 頭痛
  • 朝起きた時の疲労感
  • 不眠症
  • 気分の落ち込み
  • 性欲の低下

さらに、重症になると心臓病や脳卒中、糖尿病などのリスクを高めます。

その他の生じるリスク

睡眠時無呼吸症候群以外にも、いびきを放置すると以下のようなリスクがあります。

  • 睡眠不足による疲労感や集中力の低下
  • パートナーの睡眠を妨害する
  • 慢性的な疲労
  • いびきによる口臭
  • 歯周病

いびきが気になるときの治療方法とは?

いびきの治療には様々な方法があります。

  • ライフスタイルの変更: 体重の管理、喫煙やアルコールの摂取の制限などが有効です。
  • 睡眠時の姿勢の改善: 横向きに寝ることで気道が開きやすくなります。
  • 医療機器の使用: CPAPマシンなどが効果的な場合があります。

いびきが気になる場合は、耳鼻咽喉科や呼吸器科を受診し、相談することをおすすめします。

いびきを改善するためのグッズ
  • マウスピース: マウスピースは、睡眠中に舌を前に押し出し、上気道を広げる効果があります。
  • 鼻腔拡張テープ: 鼻腔拡張テープは、鼻を広げ、呼吸を楽にする効果があります。
  • いびき防止枕: いびき防止枕は、頭を横向きに寝かせ、上気道を広げる効果があります。

いびきは男性のほうがかきやすい

いびきは、さまざまな原因によって起こります。男性の方が女性よりもいびきをかきやすいと言われています。

いびきを改善するには、まず原因を特定することが大切です。原因に合わせた対策や生活習慣の改善により、いびきを改善することができます。

いびきがひどい場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気で、放置すると心臓病や脳卒中などのリスクを高めます。